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◎創造性の教育に知財調査は邪魔、という考え

 デザイン系のある大学(私が非常勤講師をしている大学ではありません)の学生Aさんから、
自分の手掛けた工業デザインに関して、特許などを調べて欲しい、という依頼がありました。
 斬新なアイディアに基づいた図を見ながら、技術的に調べるべきポイントを2つくらい抽出し、
(簡単に)調べてみました。
 そのデザインを製品に実現した場合に、抵触しそうな特許は見あたらなかったのですが、
技術的なアイディアそのものは斬新さはありませんでした。
(技術的な知識に乏しいがゆえ技術的な困難さを無視したからこそデザインとしての図は描けた、
 ということのようだ、と調べるうちに分かってきました)

 その学生Aさんを紹介して下さった方は、中小企業の経営者B氏であり、
私とは永年のお付き合いがあるので、B氏に、なぜAさんと知り合ったのか、
などの経緯を尋ねました。
 彼が通う大学からAさんを紹介された、とのことだったので、

   その大学において、知的財産権に関する知識の伝授に伺えないか?

と尋ねました。
 暫くしてB氏から連絡がありました。

   Aさんの通う大学の学長先生と話をする機会があった。
   学長先生は、
  「先行する技術などを調べることで、創造力が停滞するおそれがある。
   創造させてから調べさせる、という教育方針なので、
   知的財産に関する知識は不要!」
  とのことでしたよ・・・

とのことでした。
 上記のような考え方をする大学関係者はいるだろうな、と予想はしていましたが、
やはり現実にいました。

   調査は不要でも、知識は必要だ

と考えるのが合理的だと私は思うのですが、
直接の知り合いではない方を説得するほどのチカラを私は持ち合わせないので、
ここで撤退を余儀なくされました。

   (2017年11月作成)