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◎地域ブランド育成における失敗分析(5/6)

 売る対象となる商品の個性を磨こう、という議論は、地域興しプロジェクトでは熱心に議論されます。
しかし、その商品を買ってくれる消費者(ターゲット)を明確にする、明確に絞り込む、ということは、
行われないか、有耶無耶にしたまま進むか、どちらかになっています。

 一般企業であれば、マーケティングにおけるターゲット(のセグメント)といった議論の中で
通常なされるはずの議論なのですが、なぜ有耶無耶になってしまうのか。
 これも、前コラムで指摘した理由と同じで、メンバーの利害を一致させられないからです。
メンバーの利害という微妙な課題なので、分かっているのに議論を避ける(暗黙の了解)。
 または、多少の議論をしたとしても、まとまらずに棚上げにしたり、徹底することなく妥協してしまう・・・

 ターゲットが不明確な商品やサービスが売れるでしょうか?
ターゲットを明確にしても売れないことの方が多いのですから、結論は見えていると言えます。
売れたとすれば、プラスの要因がいくつか重なったラッキーな場合、となってしまいます。

 有名人がたまたま取り上げ、それがツイッターなどのメディアを通じて広まり、テレビで全国放送される・・・
そんな偶然は、滅多にありません。
有名人を「観光親善大使」として宣伝しても、成功事例がいくつも出ているわけではないことから、明らかです。

 ターゲットを明確にしないで前に進んでしまう、隠れた原因もあると、私は推測しています。
メンバーの多くが「セグメント、ターゲット」といったマーケティング用語に慣れていないようなのです。
ヒット商品の裏側を探るようなテレビ番組を観ることはあっても、マーケティングの本を読んだことなど無い、
というメンバーが少なくない、と表現すれば分かりやすいでしょうか。

 しかし、プロジェクトメンバーにどんな人がいようとも、そのメンバーの皆さんのパワーを集結しなければ、
プロジェクトを成功へ導くことは困難である、とつくづく感じています。
 プロジェクトのメンバーに応じたプロジェクトマネジメントのできるプロジェクトリーダの存在が、
極めて重要になりましょう。

    (2013年9月作成)