◎職務発明制度の改正議論に一言

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◎職務発明制度の改正議論に一言

 職務発明制度の根幹は、特許法29条1項柱書にあります。
「・・・発明をした者は、・・・特許を受けることができる。」と書かれています。
 この『発明をした者』は、法人ではなく、自然人であると解釈されており、
会社員であれば会社員個人が特許を受けられる、と解釈できるわけです。
 ついで、特許法33条1項。
 「特許を受ける権利は、移転することができる。」と書かれています。
 この規定によって、会社員個人に発生していた権利を法人である会社が譲渡を受け、
特許出願人(特許が成立した場合の名義人=特許権利者)になれる、というわけです。

 さて、安倍政権において、この特許を受ける権利を、最初から法人にできないか、
という議論をしている、との報道があります。
 ここでは、この問題に対する直接の言及は避けます。
 私が取り上げたいのは、
   全ての法律条文は、二者あるいは三者の公平(バランス)によってできている
ということです。
 職務発明制度でいえば、法人たる会社と個人たる発明者とのバランスです。

 産業財産権法の改正についての議論(法改正の下準備)は、
特許庁(行政)、企業の代表者(ユーザ)、日本弁理士会(代理人)の三者が、
それぞれの立場を議論し、バランスの取れた改正がなされていきます。
 しかし、職務発明制度の議論を、特許庁、企業の代表者、日本弁理士会の三者で行っても、
バランスの取れた議論になりません。
 発明者として発言する人がいないからです。
 企業の代表者は法人としての立場であり、発明者としての立場ではないから。

 発明者としての発言者を幅広く集めてくれるかどうか、を私はとても心配しています。
 なお、特許法1条にいう「発明を奨励し」を欠くことになる改正には、断固反対します。
「特許を受ける権利」を発明者から取り上げることは、
「発明を奨励する」ことにはならないと考えるから。

      (2013年7月作成)

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