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◎聞きたいようにしか聞いてもらえない

 ある会社の商品開発マネージャとお話しする機会がありました。
そのマネージャは、開発される一連の商品に関するネーミングの責任者でもあったので、
ネーミングに関する悩みなどをお聞きしました。
 その悩みに少しでも応えたい、と考えた私は、
自分が思い付いた事例を紹介したり、ネーミングのテクニック事例を紹介したりしました。

 しかし、そのマネージャが退席された後、知財部の方とお話をして

   私は失敗した

ということに、気づかされました。
 知財部の方は、

   あのマネージャは、自分が聞きたいことだけ拾ってしまいます

とおっしゃったのです。
 「悩みに応える」ということに一所懸命になってしまったことが
失敗の原因です。
 たとえば、

   こういう例外もあります

という事例を紹介してしまった件について、

   彼は、その例外における前提条件は忘れてしまい、
   「例外」があったのだから大丈夫、ということだけを
   覚えて帰り、今後はそれを振り回してしまうおそれがあります

とのことだったのです。

 多くの事例や知識を身につけ、それを必要に応じて引き出す、
ということは、重要なスキルではあります。
 しかし、

   人は、聞きたいようにしか聞こえてこない

ということなのです。
そのことを肝に銘じ、現場ではもっと注意を払うべきでした。

    (2012年4月作成)