ある会社の商品開発マネージャとお話しする機会がありました。
そのマネージャは、開発される一連の商品に関するネーミングの責任者でもあったので、
ネーミングに関する悩みなどをお聞きしました。
その悩みに少しでも応えたい、と考えた私は、
自分が思い付いた事例を紹介したり、ネーミングのテクニック事例を紹介したりしました。
しかし、そのマネージャが退席された後、知財部の方とお話をして
私は失敗した
ということに、気づかされました。
知財部の方は、
あのマネージャは、自分が聞きたいことだけ拾ってしまいます
とおっしゃったのです。
「悩みに応える」ということに一所懸命になってしまったことが
失敗の原因です。
たとえば、
こういう例外もあります
という事例を紹介してしまった件について、
彼は、その例外における前提条件は忘れてしまい、
「例外」があったのだから大丈夫、ということだけを
覚えて帰り、今後はそれを振り回してしまうおそれがあります
とのことだったのです。
多くの事例や知識を身につけ、それを必要に応じて引き出す、
ということは、重要なスキルではあります。
しかし、
人は、聞きたいようにしか聞こえてこない
ということなのです。
そのことを肝に銘じ、現場ではもっと注意を払うべきでした。
(2012年4月作成)