条文にはタイトルが付いていますが、
このタイトルは便宜的なものであり、条文の一部ではありません。
このタイトルに頼ると、変なことになる、という一例をご紹介します。
特許法29条には、『特許要件』とタイトルが付いていますが、
これを備えていると特許になる
という内容が書かれているのではなく、
このような発明を特許請求の範囲に書いても特許しません
という内容となっています。
したがって、 適用条文=29条2項 とされた拒絶理由通知は、
本件特許出願は29条2項に抵触する、と審査官が判断した
と表現では正確ではない、ということになります。
「抵触する」のではなく、29条2項の条文の通り、なのです。
29条のタイトルをもう少し正確に表現しようとすると
非特許要件・その1
とでもなりそうですが、それにも無理があるのでしょう。
要するに、条文のタイトルに関しては、
名が体をあらわしているとは限らない
ということです。
(2009年6月 作成)