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◎劣等感と孤独感(1)

 自分一人ができないのでは、という劣等感に端を発する孤独感は、
一人前になれば克服できるものだろう。
 その劣等感を感じていた頃に、漠然と感じていたような気がする。

 一人前になったという自信は持てなくても、あのころよりは成長した、
と思える今、劣等感を感じる時間は少なくなったような気がする。

だがそれは、劣等感が小さくなったということではなく、
劣等感に浸る時間さえなくなっているだけであろう。

 時間に余裕がないと、劣等感よりも孤独感の方が大きく襲いかかってくる。

 紛らわすことが困難な孤独感。未だに持てあましてしまう孤独感・・・

 『人間は慣れる動物である』というのは、ドストエフスキーの言葉だっただろうか。

持てあましてしまう孤独感にも、
少しは慣れてきたのだ、と思いこむことで、紛らわそうとしている自分がいる。