◎知財部物語(2)

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◎知財部物語(2)

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「吉井さん、さっきはフォローが不十分で済みませんでした。
発明届出書も、あんなにビッシリ書いていただいていたのに。」


浜田は、知財部を抜け出し、商品企画部の吉井のところへ誤りに来た。

「発明届出書なんて、もう二回目だし、それはどうでもいいのよ。
私たちは企画書を没にされることくらい慣れてるんだから。
それより、何よ、社内官僚のような態度は!」

吉井は、怒りを思い出させられ、抑えられない様子だ。

「深沢部長は、知財の業界の中では柔らかい頭の持ち主、と言われてるんですが・・・」

吉井の怒りを静めるには全く不十分と感じながら、浜田は口にした。

「知財部って名前なんだから、他の部署から出てきた知恵を何とか財産にしなさいよ。
規則や法律に当てはまっているかどうかを判断するだけが仕事じゃないでしょ。
それに、『特許になるかどうかは分からない』とか何とか、
白黒はっきりした判断だって出さないし・・・。」

吉井の小言を聞きながら、浜田は自分が変わった、ということを自覚していた。

自分は保守的なタイプだったのだ。
地方公務員の両親を持ち、地元の国立大学の法学部を出た浜田は、7年前の入社。
当初は法務部に配属されたのだが、先のビジネスモデル特許ブームで知財部が大わらわとなり、
異動した(もっとも、机の位置は10メートルも移動しなかったが)。


保守的と自覚していた頭が変わるきっかけは、
今眼の前にいる吉井の、最初の発明考案届出書である。

企画やら販売やらには素人である浜田が見ても、斬新で面白い販促ツールだった。
タイミングが悪く年度末に持ち込まれたことや、
企画部員である吉井が初めて書いた稚拙な発明届出書だったことが重なり、
知財部では即決で没になってしまった。


しかし、吉井に対する浜田の第一印象は、浜田にとって大きな事件だった。
浜田が仕事で普段つき合う社内外の人間たちとは、職種(人種?)が違っていた。

浜田は、ひとつ年上の吉井との出会いをきっかけとして、
仕事の姿勢が外向きになってきた。

すると、法務部に転属された同期の西木の言葉が、ようやく理解できるようになった。

・・・続く

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