◎知財部物語(1)

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◎知財部物語(1)

    ある消費財メーカのある出来事

2006.10.17 的場成夫

   【登場人物】

知財部員; 浜田
知財部長; 深沢
商品企画部員; 吉井
商品設計部員; 秋本
法務部員; 西木
営業部長; 梅川


  【販促プランP2号】

「もう一度確認しますが、私が企画した販促プランP2号は、
販促効果がほぼリアルタイムでコンピュータに出力できるとしても
特許が取れないんですね?」


商品企画部の吉井女史は、語気を荒げた。
普通は、設計や開発部門の者しか使わない「発明考案届出書」に、
P2号の詳細がびっしり書いてあった。


「いや、私は特許庁の審査官じゃあないんだから、特許されないという断定はできない。
 しかし、確率的にはかなり低いだろうと申し上げたにすぎない。」

 知財部長の深沢は、冷静に(吉井には冷淡に聞こえたことだろうが)返答した。


「深沢部長の言うとおり、確率は低いかもしれない。
しかし、特許されないという確証が得られるまでは、
特許されるかもしれない状態が続くわけですよね。
ですから、ライバルのX社に、特にあそこの強引な営業部隊に対する牽制になれば、
それなりの効果があるのではないですか?」

知財部5年目の浜田は、自分の上司の味方なのか、
吉井の味方なのか、にわかには判断できない発言をした。

「浜田君ねえ、メーカである我が社は、特許出願の予算を各事業部が持っているんだよ。
本社の、しかも商品企画部には、特許出願のための予算はないんだよ。」


「6年前にはあったそうですよね。」


 浜田が答えるよりも早く、吉井が口を出した。

「あれは、ビジネスモデル特許ブームという、狂乱時代のことじゃないか。
今の経営陣は、あれが虚構だったということを認識して、
商品企画部に特許予算を配分しないことになった。
そんな例外を、今回の問題として持ち出してもねえ・・・」

知財部長のもっともらしい対応、商品企画の吉井の不満そうな顔の間に挟まれ、
浜田は行き詰まった。


「営業部の方々には受けています。
販促のキャンペーンのネーミングも、雑談的ですが出ています・・・」

 

 吉井は、捨て台詞のように呟いた。

 ・・・続く

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