◎情けない酔っぱらい

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◎情けない酔っぱらい

終電には間に合ったが、吊革にぶら下がるのもきつかった。
つらい酒だった。

「食っていくためには、しかたがないんだがな・・・」

駅を降りる。
午前1時を回っている。
6時間もしないうちに布団から出なければならない。

冷静に計算できる自分は、酔っているのか?

こんなことも忘れたいために呑んだのではないのか?

明日、また仕事に行かなければならないのは、なぜなのか?

酒の席での失言が頭の中で繰り返される。

どうして、こう、同じ失敗ばかりしてしまうのだろう・・・

ふらついていることを自覚しながら、横断歩道を渡り始めた。
左から来るヘッドライトのタイミングからは、渡り切れる。

そんなことは、冷静に判断できるのはなぜなのか。
酔っぱらいのくせに!酔っぱらいなら酔っぱらいらしくしろや。


自分に腹が立ち、その腹いせに渡り切る直前、後戻りしてみた。

   キキッー、ドーン

ヘッドライトのひとつを壊す代わりに、自分の身体も破壊される。

「ドーン」と同時に、自分という割れ物がクラッシュし、
頭の中から光も音も消える。

解放された、という満足感も得る前に。


一瞬の気まぐれは、行動には結びつかず、
その代わりに、クラッシュまでの一瞬を想像しただけ。

後に残ったのは、明日もまた仕事に出かけていかなければならない、
という後悔やら責任感だった。

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