◎ノルマ

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◎ノルマ

今月末までのノルマがあと2件。
数をそろえることが、この会社ではそんなに大事なのか?

大事なのか何よりは優先しなくて良いのか、といった優先順位のレベル差に、
そもそも「ノルマ」が必要ではないか?

 「うちの部では、ノルマは部長の気分次第。厳しかったり無いようなものだったり、だぜ。」

同期入社のNがビールジョッキを片手に、お気楽な返答をしてくれた。

 「俺が聞きたいのは、自分の中での折り合いを、どうやって付けているか、なんだよ!」

真剣に答えてくれているのかどうかが掴めなかったため、大声を張り上げてしまった。

周りのテーブルからの視線を集めるほどだったが、
このような居酒屋では「良くある風景」。一瞬のうちに、たくさんの視線は元通りに散らばった。

 「お前が、どうやって折り合いを付けようが、会社は結果を見てボーナスやら何やらを決めるんだ。
『学生の単位』じゃあるまいし、結果の見栄えを良くして何が得られるんだ?」

お気楽そうに見えて頼りがいのあるNの答え。
まるで十年来の友人のように俺の性格を見抜いていて、的確に切り刻んでくる。

入社以来の付き合いなのだからたったの1年足らずだというのに・・・
 
 「いやあ、それにしても、俺たちもサラリーマンらしくなってきたじゃないか!
 こうして、居酒屋で仕事の愚痴をこぼし合うようになったんだからなあ。」
 

切り刻まれることを期待して甘えているようじゃ、そのうちコイツにあきれられちゃうな。

ちょっと自己嫌悪に陥っているところまで見透かされたのか、上手に茶化してくれた。

アイツの素晴らしさで、ちょっと苦くて旨いビールを飲むことができたんだから、
俺のノルマは達成ってことにしよう。

アパートの自分の部屋の電気を付けるときに、そう思うことができた。

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