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◎大学発明を支えるリクルート社のアソシエイト 第七回

(5)現状

2000年4月に本格スタートしてまだ3年だが、

2003年2月現在では10名のスタッフを抱える事業部となっている。

大学側に軸足を置き、TLOや大学教授のエージェントに徹している。

さて、少し数字を見てみよう。

リクルート社では、2002年12月までに、約850件の技術開示を大学側から受けたという。

そして、ライセンス契約にたどり着いたのは約1割だそうである。

ひとつの技術から複数のライセンス契約が成立した場合もあるので、

成約数は約140件とのこと。これを多いと見るか、少ないと見るか。

比較のため、大学発明の技術移転の世界で著名なスタンフォード大学の例を見てみる。

    【表3】

シーズが100件あったとすると、特許が取得できるものが25件、

技術移転が可能なものは15件、そしてヒットと位置づけられるライセンスは3件ということである。

(山本氏は、「お金を生むのは100件に1件」と語っている。)

更にカリフォルニア大学のデータとも比較してみる。

4125件のライセンス発明のうち、トップ5が全体の68%のライセンス料を、

トップ30が全体の85%を稼ぎ出している、ということである。

これらの数字を比較してみると、米国の例とリクルート社の例とでは、

割合として大差がないように見える。

成約に至るのは扱った発明の1割、大きく稼げるライセンスはその何分の一

という厳しい統計データである。

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